ガスを燃やした灯火具
ガス灯とアセチレンランプ |
日本で初めてのガス灯は、明治5年に横浜の神奈川県庁付近および大江橋から馬車道本町にかけて設置されたものです。その翌々年には、東京芝金杉橋から京橋までの間にも敷設され、ともにフランス人技師アンリ・プレグランの指導のもと、高島嘉右衛門らによってガスのあかりが街路を照らすことになりました。
この頃のガスは、石炭を乾留することによって発生させた石炭ガスが使われていました。灯を灯すにはガス会社の配管工事を要したため、地方への普及にはかなりの時間がかかりました。
都市部でのガス灯は、文明開化の象徴としてもてはやされ、明治10年の第一回勧業博覧会では、「花瓦斯」といわれるイルミネーションが、新富座や鹿鳴館などに次々に灯され喝采を浴びました。しかし、ほぼ同時期にもたらされた石油ランプや電灯との競い合いで、ガス灯はその設備面の困難さや電灯の手軽さに押され、しだいに姿を消していきました。