つけ木は、火起こしの際、火種から火を移し取る時に使うもので、マツやスギを薄く削った木片(へぎ)の端に、着火しやすい硫黄を付着させたものです。 北信濃地方では「ツケンパ」とも呼ばれ、山間地の冬場の仕事として作られていました。材料のマツは、アキギリ(秋伐り)といって9月から11月の間に山に入って12尺くらいの長さに伐り、それを干したものを使います。雪が降るのを待って木口にトチガネを打ち手綱を付けて雪の上を滑らせて里に下ろしました。しばらく軒下に積んでおき、正月を過ぎた頃からつけ木作りの作業を始めます。
ここでは、長野県中野市深沢の民家で昭和10年頃まで使われていた道具を展示しています。