火おこしの道具・発火道具
人間ははじめ、落雷や火山活動などの自然現象によって起きた山火事から、火の威力を知ったと思われます。そして火の持つ力や有益な働きを、日々の経験の中から利用するようになったと考えられています。私たちの祖先は、火を使うことによって寒さをしのぎ、食物を煮炊きし、夜の闇を照らすといった生活を手にすることができました。この、生活になくてはならなくなった火を、自らの意思で作り出すことができるよう工夫したのが、さまざまな発火道具です。
火を生み出す道具は、国や地域の違い、また、火の利用目的によっても異なります。日本では、摩擦法(「もみぎり」や「舞いぎり」)や衝撃法(火打ち)が多く見られ、庶民の間では「火打ち道具」が一般に使われていました。「もみぎり」や「舞いぎり」は、神社で使われる場合が多く、出雲大社や諏訪大社などでは「もみぎり」、伊勢神宮などでは「舞いぎり」を用いています。また、古くから伝わる村の祭りでも、「もみぎり」などの火きりが行われているところがあります。
舞いぎり式発火道具 | 火打ち式発火道具 |