油を燃やした灯火具
灯火に用いられた油には、植物性のものと動物性のものとがあります。島国日本では魚油の利用も多く、明治時代初期まで灯していた漁村もありました。しかし動物油は燃やすと悪臭を発することから、屋内の灯火には不向きなものでした。
植物油の初めは、ハシバミから取ったものといわれ、他にゴマ油、マシ油、エゴマ油、ホソキ油などの名が文献に出てきます。室町時代末から江戸時代初期には、菜種から油を搾取する方法が考案され、菜種の生産や油搾りが盛んに行われるようになりました。江戸時代の流通経済の中で、灯油も大量に生産され、消費される時代になったのです。
江戸時代に入ってからの菜種油の普及は、灯火具にもさまざまな変化をうながし、それまでの灯台に灯明皿を灯すだけのものから、「あんどん」や「ひょうそく」など、目的にあった便利な道具が作られていきました。
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